深夜のコンビニで気づいたこと
12月のある夜、午前2時の渋谷のローソンで取材の合間にコーヒーを買った。レジ前に立っていたのは20代前半の留学生らしき若者で、片手に文庫本を持っていた。表紙を見ると、太宰治の『人間失格』だった。
編集部の中で「コンビニは現代日本の縮図だ」という話をよくする。24時間営業、決済の多様化、地域差のある惣菜。だがその夜、私が見たのは「読書する若者」という、どこか古典的な光景だった。スマホではなく、紙の本。深夜のコンビニという、おそらくこの本が書かれた1948年には存在しなかった空間で、それは静かに開かれていた。
伝統と現代は、しばしばこういう場所で偶然に出会う。この観察は、4月号の「文学が描いた東京」の記事の冒頭に使うことにした。
— 編集部